こんにちは、禅道会東京支部の西川です。いよいよロシア ハバロフスク大会も3日め、残るは決勝戦の谷村泰嘉の試合のみとなりました。
前回の記事はこちら→ロシアハバロフスク大会遠征記 二日目
この日の決勝戦はテレビ放送が入るからでしょうか?午後にスタートということで、午前中は禅道会空手技術セミナーを小沢首席師範指導の元、大畑支部長と私で行いました。
道に迷いながらも道場に到着
ビタリー支部長からのリクエストでベーシックとなる打撃稽古の一連の流れを説明しながらみっちり2時間一緒に汗を流しました。
試合の無い、瀬戸勇真、船田侃志、田口恵大の3人もロシア道場生に混じって一緒に稽古。
これこそ武道の本分である、言葉のいらないボディーコミュニケーション、国際交流。
とても良いセミナーだったと思います。
そしてホテルに戻り、会場へ、、、、ついに決戦の舞台。
会場はすでに超満員、決勝戦のみということで前日まではアリーナに6コートだったものが真ん中に1コート、まわりには客席が出来ていてテレビカメラが4台ほど、プロ興行並みのスケールです。
こんなにお金かけてどういう資金繰りなんだろう?と後ほど謎は解明するのですが、不思議でした。
決勝戦に残った谷村泰嘉、昨年この大会に一人で乗り込み決勝戦で惜しくも破れてしまいました。まずはそのときの模様です。
慣れないパウンドありのルール、また日本ではありえないような大舞台に戸惑い、本人はこのときのことがかなり悔しかったのでしょう。今年はなんとしても優勝するんだと意気込んでおりました。
実際一回戦、二回戦ともに秒殺の一本勝ち、きちんと対策をしてきて準備万端、なにより今年は一緒に戦う仲間がいます。
そして決勝戦の舞台
残念ながら今回も準優勝、会場の雰囲気と相手の体格に飲まれてしまった感じでした。私もセコンドについていて力を出し切らせてあげられなくとても悔しい思いをしました。
でもこうやって今年は二人も入賞者が出たのは立派なことです。
彼らは慣れない場所で本当によく頑張りました。
大会後、郊外のダーチャ風レストランでロシア支部のメンバーとともにミーティングを行いました。
ルールの問題、ロシアの状況、現在の日本の状況、今後の世界戦略に向けて様々なことを話し合いました。
その中で一番ビタリー支部長が強く言われていたのは
「日本が一番強い国であってくれ、そして武道の形を変えずに残してくれ」
ということでした。
今までロシアに入ってきた様々な日本の武道を経験、そして見て来ての本音なのでしょう。
私は今回の旅で一番伝えなければいけないメッセージだと思いました。
大会の動画を見てもらえばよくわかると思いますが、少年大会(11歳~17歳、ロシアでは学校は11年制)でこの規模でテレビ放送まで入る日本の大会というのは正直無いと思います。NHKで行われる全空連さんの試合でも小学生大会というのは見たことありません。大会運営費の半分は国が出してくれるのだそうです。
ましてや軍事国家ですから、国の教育として子供を強く育てるということに関しての意識レベルが全然違うのです。
かたや武道母国日本、昨今ようやく中学校の必修科目として武道の授業が取り入れられましたが、きちんとした指導者が足りないがゆえに真似事程度の授業しかできません。
オリンピックに空手が正式種目になったのは実に喜ばしいことですが、それは同時に空手が武道としての価値を失いスポーツ化してしまうということ、完全なスポーツになってしまったらサッカー、バスケ、テニスには絶対勝てないでしょう(笑)
武道としての空手だからこそ価値があるんだということを、異国の地で教わった気がします。
武道、とくに空手というのは、アニメよりもはるか昔から世界中に広まっている日本文化です。
以前貿易をしている人から
「空手って自動車以上に、輸出に成功したものなんですよ。世界中どこの街にも必ず空手道場ありますよ」
という話を聞いたことがあります。
そのような日本の宝ともいうべき大切な武道、空手という文化の価値を下げないためにも、私たちは何か手を打たなければいけません。
実際四人の中学生は、今回の旅を経験し一回りもふた回りも大きく成長しました。このように日本文化の伝承者として国際交流の経験をした若者は、きっと将来本当の意味でのグローバルな人材として日本を支えてくれるに違いありません。
そしてたくさんの子供達にこのような経験をさせてあげることは、今後私たち指導者の大切な役割だと思います。
今回本当に貴重な経験をさせていただいた、小沢首席師範、ビタリー支部長、ロシア支部のみなさま、本当にありがとうございました。
また今回同行して、これまた素晴らしい日本文化である”志教育”のセミナーを開いていただき、またたくさんの素敵な写真を撮ってくださった北見先生、ありがとうございました。
そしてこの駄文長文に最後までお付き合いいただきみなさまにも感謝の辞をのべ締めくくりとさせていただきます。
みなさま来年は一緒にロシア行きましょう、押忍。